夕方、友達に手紙を書いていたら母から電話が入った。
いつもの電話と、声が違う。

「さっき、お父さんの所に社長さんが来てね。
簡単に言うとリストラなんだけど…
とにかく、みんな早く帰ってくるように言ってある。
夜にお父さんが直接報告するから、心の準備はしておいて」

父はずっと準社員で働いていて、年齢も年齢なので
この不況のご時世だし、いつかはこういう日が来るだろうと
母はずっと思っていたらしい。
「遅かれ早かれこの日は来るの。それが今日だっただけ」と。

私、何もしてあげられない。
「すぐにでも仕事見つけて働く」ってすぐに考えた。
それを母や妹に言うと
「まずお姉ちゃんは身体を治すことだけを考えてほしい」って。
もし私が逆の立場だったら全く同じ言葉を言ったと思う。
そう思うだろうな、と思う。

頭ではわかっていても。ココロがついていかなくて。。
混乱した。苦しかった。

++++++

夜、家族が全員揃って父から報告があった。

「お母さんから聞いているとは思うけど、2月20日で終わりになったから。
半年は失業保険が降りるから、二人ともお金の心配はしなくていいからね。
ただ、2〜3ヶ月は少しゆっくり休ませてほしい。
歳が歳だから、すぐに仕事が見つかるかどうかはわからないけど
お父さんはまだ頑張るから。それで、いい?」

目の前にいたので、話していく内に父の目が赤くなっていくのがわかった。
一番辛いのは、父なんだ。

自分が情けなかった。
今、金銭的にほぼ全面的に頼っている状態の自分。
「これからどうなっちゃうんだろう」
という色々な不安が心のどこかでよぎっている自分。
こんな時に、自分のことしか考えていないのか、って…。

「今までも、何とかなってきたんだよ。
だから、これからも何とかなるから。
余計なことを心配して考えて、
却ってお姉ちゃんの具合が悪くなる方が辛いんだよ」

家族が言ってくれた言葉。
「ごめんね」としか言えなかった。
「ありがとう」って言いたいのに、出てこなかった。

金銭面で家族に一番負担を掛けているのは、私なのだから。

++++++

もう少し時間が経てば、きっと気持ちも変わるだろう。
今日の今日だから、混乱するのも仕方がないって思うことにしよう。
きっと時間が、薬。

父の仕事の最後の日。
「お疲れ様でした」って笑顔で言いたい。

だから私も、できる時にできることをするよ。
無理をすると、却ってお父さんたちを悲しませるよね。

コメント